直接演奏には大きく影響しませんが、キイの表面が曇ってくることがあります。
放置しておいてもあまり影響がありませんが、感じもよくないし、場合によってはスムーズな
運指を妨げることもあります。
この汚れは、手の油脂に部屋の埃が混ざったものであったり、それが原因で表面のメッキが
酸化したものであったりします。普通は両者が混ざった状態であるといえます。
この汚れは、キイ表面を普段からときどき拭いておくこと、楽器を吹く前に手を洗っておくことで、 かなり防ぐことができます。シルバーポリッシュなどを使うと新品同様にきれいになりますが、 メッキがはがれやすくなるので多用は禁物です。
キイが動かなかったり、押したら戻らなくなってしまう場合、そのほとんどは バネが外れてしまっていることによるものです。バネをはめれば直るので、このくらいは すぐできるようになっておきたいものですね。
板バネはそう簡単に外れないし、ずれても正常に作動することが多いので、気づかないまま
放置されていることも多いのですが、バネに無理がかかっているので、キイを一旦外して
向きを調整します。問題は針バネで、場所によってはうまくかけられないこともあります。
楽器屋でバネを直す道具も売っていますが、細い精密ドライバーが2本あれば掛けることができます。
その原理は、片方のドライバーの側面で針バネを押しやり、もう一つのドライバーで
押しやったバネを、ドライバーの側面に沿って平行移動させるのです。慣れるまで難しいのですが、
一度慣れてしまえばこの応用でたいがいのバネはかけ直すことができます。
バネは、何度も使われているうちに弱くなってしまうことがあります。このときは キイを一旦外して、バネを、作用する向きを考えながら少し曲げてやることで、 反発力を多少回復させることができます。しかし、無理にすると折れてしまうので、 むやみに曲げないで、交換してしまう方がいいこともあります。
バネは、条件によっては金属疲労のために折れてしまうことがあります。こうなると、
バネを交換するしかありません。手元に予備部品があれば、古いバネを外してつければ
いいのですが、針バネのその作業は難しいので、楽器屋に任せた方がいいかもしれません。
針バネは、ペンチで古いバネをキイポストから引き抜き、新しいバネを押し込んで
向きを調整します。板バネはねじ止めなので、ねじを外せば簡単に交換できます。
針バネがない場合、まち針で代用する手もありますが、針の太さや反発力が違うので、
全く勧められません。
キイが微妙に曲がって干渉し、引っかかってしまうことがあります。キイ同士が
干渉する場合と、リングキイと木管の出っ張った部分が干渉する場合が主に考えられます。
いずれの場合も、どの部分が干渉しているのかをまず見極める必要があります。
次に、その干渉を取り除くためには、キイがどの方向に動けばいいかを考えます。
このとき、必ずしもそのキイの干渉部分近傍が曲がったとは限らないので、注意が必要です。
キイの軸が全体に沿ってしまったり、キイポストがゆがんでいる場合もあるのです。
さらに、そのゆがみはたいてい3次元のゆがみになっているので、正確な直線定規などを駆使して
調べなくてはなりません。
ゆがみの全体像がつかめたらそれを直すのですが、一度に直すのは危険です。
その全体像が間違っている可能性もありますし、キイの加工部分が折れてしまうこともあります。
ゆっくりと力を掛けて、ほんの気持ちだけ曲げて一度試してみます。目に見えて変化が
分かるようではやりすぎです。たいていの場合は、目に見えるかどうかの修正で
大きく改善されます。
キイポストの向きを直すときは、ねじが通る穴にドライバーなどを通して、それを少しだけ
動かすようにします。これも、目に見えて分かるほど回してはいけません。
いずれにしても、自信がない場合は無理をせず、楽器屋に任せた方がいいでしょう。