リードは、葦(ケーン)で作られています。葦は植物ですので、自然の状態ではそれなりの
水分を含んでいます。リードにする際には、充分に乾燥させたうえで加工されます。
一般に植物を原材料として何かを作る場合、加工する前に充分乾燥させることが必要なのです。
ではなぜ、加工する前に乾燥させなくてはならないのでしょうか。それは、植物は
湿った状態と乾燥した状態ではその形状に差があり、乾燥が不十分なままで加工すると
乾燥したときに変形してしまうからなのです。
リードの場合、これが問題になってきます。というのも、私たちが楽器を吹いているとき リードは唾液によって湿ってくるからです。しかも、リードの先端部分と根元の部分では その湿り方に差が出てきます。こうなると、リードは変な方向に力を受けることになってしまいます。 この状態が長く続くと、リードが変形したり、割れてしまう原因にもなりかねません。 リードが乾燥しにくい状態は、リードにとってあまりいい環境とはいえません。
さらに、リードにとって湿り気そのものが大敵となります。梅雨時になると、ものが腐ったり
かびが生えたりすることが多くなります。リードの場合も一緒で、特に吹いたあとのリードは
人間の唾液や唇の細胞片がついているので、かびや雑菌にとって絶好の繁殖地になってしまいます。
このように考えると、リードは常に乾燥した場所に置いておくのがいいことになります。
ただ、あまりに乾燥しすぎたところに置くのも考え物です。干しシイタケを想像してもらえれば
いいのですが、植物は極度に乾燥するともろくなります。リードも、極端に乾燥すると
ぱりぱりに割れてしまいます。乾燥剤と一緒にしまうことはさけた方がいいのです。
リードの、マウスピースに当たる側の面は平面になっています。この平面が何らかの理由で
ゆがんでしまうと、音の響きに大きな影響が出ます。
湿ったリードを乾燥させると、この平面がゆがむことがあります。特に新しいリードの場合、
乾燥の度合がリードの部分によってバラバラになり、そのためリードが反ったり
曲がったりしてしまうのです。これらの現象は、何度か吹き慣らすことで乾燥が一様になり、
収まってきます。これがリードの安定といわれることなのです。
ところで、この乾燥時のゆがみは、急に乾燥させた方が大きくなるようです。 乾燥機や乾燥剤を使って急に湿り気をとると、一旦乾燥速度のバランスが崩れると、 その差が大きくなってしまうのです。ですから、楽器本体や木工品を作る場合も、 材料は長い時間をかけて自然乾燥させるのです。リードも同じことがいえて、使ったリードは 時間をかけて自然に乾燥させるようにした方がいいのです。
リードをしまうのに、リードケースを使います。マウスピースにリードをつけたままにすると、
リードがゆがみやすくなりますし、リードの破損の原因にもなります。
一口にリードケースといっても、そのサイズや形、リードをのせる部分の材質など、
その形態は千差万別です。しかしいずれのものも、リードをケース内で固定し、
リードの平面部分を維持するような構造である点は同じです。このことは、リードの乾燥を
一様にし、反りやゆがみを防ぐ意味で重要です。また、移動時や保管時の破損を
防ぐためにも必要なことです。
しかしいっぽうで、吹きさらしではないので乾燥は遅くなります。リードがたくさんある場合は、
完全に乾燥するまで他のリードを使えばいいのでたいして問題ではありません。
でも、リードの数が少ないときや、連続して楽器を吹くときには困ります。
その点、バンドレンのリードについてくるケースは、通気性に優れていますから
有利です。ただ、リードの平面を維持する能力はたいして期待できないので、
ときどきリードの状態をチェックする必要があるでしょう。