分散和音は、アルペジオともいいます。ピアノの伴奏形にはよく現れるのですが、
別にピアノに限った事ではなくて、クラリネットの楽譜にも結構よく登場します。
例えばこんな感じです。
基本的には、何かの和音(きれいな和音とは限らない)
の音を順にそこそこの速さで変わりながら演奏するのですが、これが案外曲者です。
音がとびとびになっているので簡単に指を離す(あるいはとじる)ようにすればいい、
という訳にはいきません。
さて、分散和音がなぜ大事かといえば、メロディを構成するいくつかの要素の
うち、とても重要な役割を果しているからです。メロディのフレーズそのものとして
現れるだけでなく、伴奏の一形態として、あるいは音階の流れと組み合わせて
様々な表現を可能としているのです。
分散和音の練習は、音階練習と似通ったところが結構あります。
というのも、どちらも音の移り変わりが重点となっているからだと思います。
ただ、音階の場合音は隣り合っていて動く指は1本か多くても2本だったのが、
分散和音になったとたんにもっと多くの指を同時に上げ下げしなくては
ならなくなります。
したがって、分散和音の練習の重点のひとつはいかに指の上げ下げを同時に
スムーズに行うかという事になります。
人間の体は、普通は同時にいくつもの事を処理できるようにはできていません。
例えば、本を読みながら歩くという事を考えると、一見何とかできるようには
見えても、実際には歩く事と本を読む事を細かく切り替えている場合がほとんどなのです。
ですから、読んだ内容が頭に残っていなかったり、うっかり電柱にぶつかったり
してしまいます。
しかし都合のいい事には、指を動かすという細かい作業に関していえば、
さすがは人間の発展を支えてきた手、とでもいいましょうか、同時に動くという
複雑な動きにも対応できます。ただ、それを過信してはいけません。一見同時に
動いているように見えても、ほんの一瞬の微妙なずれで音に雑音が混ざったりして
しまうのです。
ですから、分散和音を練習する時には、必ず指がちゃんと同時に連係して動いているか
を気にする事が大事になります。もしそれがうまくいっていなければ、
音のはじめや終わりに余計な音が入る事になります。特に、左右の指を同時に
動かす時と、レジスタキイをまたいで音が変わる時は、指の動きが煩雑になるので
注意が必要です。
もし、どうしてもうまくいかない時は、思い切ってテンポをゆっくり取ります。
その上で、指の動く瞬間をできる限り短くするように練習します。
テンポがゆっくりになるほど指の動きは速くなる位の気持ちが必要です。
ここまで、分散和音の練習の際の注意点は述べましたが、分散和音のパターンそのものは
いっさい書きませんでした。
分散和音のパターンは、自分でいくらでも作りことができますが、はじめはそうも
言ってられないので、何かのパターンを調べる必要があります。こういうものは、
世の中にある教則本にいくらでものっているので、自分の気に入ったものを使えばいいのです。
その際、音符の長さと指定速度は一切無視します。まずは自分が確実にできる早さに置き換えて
そこからスタートするのです。目標も、楽譜通りにする必要はありません。
自分の技術レベルにあわせて、適当な早さを目指せばいいのです。ただ、簡単に
達成できるような目標では意味がないので、その辺の加減は工夫が必要です。