このページの最終更新:1st Nov 1998

音階練習の方法論

音階練習とは / 12音階の練習をしよう / 分散和音の練習をしよう

12音階の練習をしよう

12音階とは

一口に音階といっても、世の中にはいろいろあります。
ときには、Bbの長音階を吹くことを音階練習だと思いこんでる人もいたりしますが、 通常、音階といえば12音階のことをいいます。
12音階とは、オクターブの中にある各音から始まる音階のことで、オクターブの中には 12個の音がありますから、音階は12種類あるわけです。
実際には、長音階と短音階があるので、音階としては24あることになりますが、 短音階と長音階は兄弟の関係ともいえるので、12音階というのです。

さて、これから12音階を練習するのですが、その大きな目的は、次のうちのいくつかでしょう。 つまり、「音の移り変わりの練習」「指の動きを速くする練習」「フレーズの中で 変化をつける練習」といったところでしょうか。そういういくつかの目的を達成する事で、 最終的に本番のステージでの演奏が少しでも自分の思いどおりにできるような 実力を養う事が肝心です。
ときどき、音階練習だけに命を懸けているような人がいますが、決して音階練習 そのものが目的ではないはずです。それだけは間違えないようにしましょう。

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まずはゆっくり、だんだん早く

音階練習にもいろいろありますが、滑らかに音をつなぐという点だけを 考慮すれば、どんな速さでどんな長さの音符の音階を吹いても構わない訳です。 でも、余計な事に気を使わないで音の移り変わりに集中するためには、ゆっくりと したテンポの音階が適当です。
例えば4分音符=60で全音符で音階を吹きます。H-duaのように極端にややこしい 音階でもない限り間違う事もないと思います。でも、その音の一つ一つを 注意深く観察してみましょう。音の変わる瞬間に無駄な音が出ていたり、 音と音の間にあってはいけない隙間があったりしないでしょうか。特に、 レジスタキイをまたぐような場合、上行の時に音がとぎれたり、下行の時に 音が巣抜けになったりしやすいのです。

音を連続して吹く場合、今吹いている音の次の音を想像する必要があります。 想像するとは、次の音を吹けるように自分のからだの状態を準備する事です。
確かに、クラリネットは指定された指を押さえれば、その音が出るようには なっています。しかし、それはリコーダーのようにほとんど無条件に出るもの ではなくて、必ず吹き手の意識に左右されている部分があります。それは おそらくリード(発音部)が人間(唇)に直接触れている事に起因すると 思うのですが、ただ指を次の音に変えるだけではなくて、吹き手の気持ちも 変化しないといけないと思います。
とくに、レジスタキイを越える時は、その前後で要求される条件が大きく 違うので、無意識に吹いてしまうと上に述べたような症状が現れるのではない でしょうか。

そういうことを意識しながら練習すると、音の変わり目も自然に移っていけるようになります。 そこで初めて、だんだんテンポを速くしていきます。ゆっくりの音階ができているならば、 多少テンポを速くしても何とか追いかけていけるはずです。
でもどんどん速くしていけば、いつかできなくなります。そうしたら確実に できるテンポまで戻すのです。ようは「三歩進んで二歩戻る」訳です。

人間の力というのは無限の可能性を秘めてはいますが、例えば4分音符180で 32分音符のスタッカートができるかといえば、まずできる人はいません。 それと同じで、いくら練習を積んだところで、人間の指の動きの速さには 限界があります。その限界は、人によって多少違うとは思うのですが、 そんなに大差はないはずです。
器用か否かというのは、決して個人の限界の高い低いを表しているのではなくて、 ある同一のレベルに到達するまでにどのくらい時間が必要かを表しているのだと いえます。「自分は不器用だから・・・」といっている人に限って、 普段の運指をいいかげんにして、大した練習もしてないものです。
だいぶ話がそれましたが、そういった事を考えながら練習すれば、 ある程度までは素早い運指=速いパッセージの演奏が可能になります。 もし壁にぶつかったなと感じたら、無理にそのテンポで練習をしたり無視して 速くするのではなく、確実にできるところまで戻って、速くなった事でどこに 問題が生じたかを分析しながら練習するといいと思います。

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音階に命を吹き込む

音楽は、音符をただ並べている訳ではありません。もちろん一番の根源は、 音の高さと長さに変化をつける事によってできるメロディーが基本ではありますが、 そのメロディーに豊かな感情を与えるのは、抑揚であるとか、表情であるとか、 そういった細やかな技法なのです。
そういった変化を自然に出すことができるようになって、一人前の奏者なのではないかと 考えることができます。

では、その変化を自然に自分のものにするにはどうすればいいでしょうか。
これは単純にことが運ばないのですが、ひとつは、自分の中に表情や表現をたくさん持つ事です。 それができたという仮定の上で、次のことを考えましょう。

音楽の一番基本となる、普通の音階を考えます。こういう単純な練習の楽譜には、 たいてい音符の他には速さと音量が指定してある位で、それも練習の目的によって は適当に(いいかげんに、ではない)調整されるので大した意味はありません。
そこで、ここに表情記号を自分でくわえてみます。楽典記号としての表情でなくても 構いません。例えば「結婚式で紙吹雪をまく友達のように」とか「試験で予想以上に結果が 悪かった日のように」とかでもいいのです。むしろそっちのほうが、複雑な表情を 与えるからいいかもしれません。で、そういう表情を持った音階になるように吹きます。 こうしてみると、すごく難しいですね。

ところで、音楽の抑揚はたいてい音量と密接につながっていますが、実際には音量だけでなく 音の響きとも深い関係にあります。
一口にクレッシェンドといっても、単に音量が大きくなるだけでなく、音の広がりが 大きくなる事も見逃せません。そういった事を総合的に表現するためには 「音量を大きくする」と頭で理解するよりも「気持ちが高ぶっていって」 その結果クレッシェンドになるようにしなくてはいけません。そうでないと、 ただ段々やかましくなるだけで、聞き手の心には何も残りません。

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