このページの最終更新:16th Mar 1999

ロングトーン徹底活用法

ロングトーンは必要か? / まずはいい音を目指そう / さらなる上乗せを図るには

まずはいい音を目指そう

慣れない人にとってのクラリネット

生まれて初めてクラリネットを吹いた時の事を思いだして下さい。 一体どんな感想を持ったでしょうか。
小学校で見慣れたリコーダーなどと比較して「重くて、ごちゃごちゃついてて、 音が鳴りにくい」というような印象があったのではないでしょうか。その鳴りにくさは、 慣れていないことが原因なのですが、その不慣れさを乗り越えるのがこの頃のロングトーンの おおきな目的だといえます。

初めて楽器を吹く時から、体がクラリネットに対応している人はいません。 経験がないのだから当たり前ですが、そこが重要なのです。
初心者は、息を楽器に見合った状態で吐く事も、マウスピースを唇で包み込む事も、 楽器を両腕で支える事ですらうまくできないのです。それに少しでも慣れるためには、 訓練をすればいいのは他のスポーツや芸術と一緒です。
しかし、ただ何となく練習したのでは効率もよくないですし、楽器を吹くのに際して好ましくない くせをつけてしまう可能性もあります。また、次のステップへ進むためにも、 はじめから考えておかなければならないことがいくつかあるのです。

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音ははじめが肝心

クラリネットの音は、発音・持続・収束 の部分から成り立っていますが、 この中で一番神経を使う必要があるのは、はじめの発音部分です。もちろん他の部分も 同じくらい大事なのですが、発音部分に重点をおく理由が、ちゃんとあるのです。
楽器を手にとって間もない人が吹くと、ときどき「ぴきゃっ」という高い音がでてしまう ことがあります。俗に「リードミス」と呼ばれていますが、それを防いで確実に音を出すには 発音部分がしっかりできるようになっていないといけないのです。

さて、具体的にどのようなことを考える必要があるのでしょうか。まず大事なのは、 音が鳴り始めるまでの一連の動作を順序よく抜け目なく行うことができるようにする事です。
音が鳴るまでには、楽器を構え、ブレスを取り、アンブシュアを作り、舌でリードを制御しつつ 楽器に息を送り込む、という動作が行われます。練習を重ねるうちに、これらの動作は 無意識のうちに最適な状態で行えるようになるのですが、はじめのうちはそうはいきません。 特にやっかいなのがリードの制御です。リードを自由にして息だけ吹き込むと、 なにが起こるかわかりません。意識しすぎるとアンブシュアが崩れたり、他の動作に 影響を与えます。
はじめのうちは、これらのプロセスを意識して音を出すことが必要になります。 もちろん、一つ一つ頭の中で復唱していては間に合いませんが、無視しないようにするべきです。 特に、失敗してしまった場合はどこに問題があったのか振り返り、同じ失敗をしないようにしましょう。

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各部分の大事なポイント

では、具体的にどのようなことを考えることになるのでしょうか。具体的に、 発音・持続・収束 の各部分に分けて考えてみましょう。
まず、発音部分では上でも少し触れたように、確実に自分の求める音を出すということがあります。 そのプロセスは、上でも述べたいくつかの段階を素早く確実に行うことです。 しかし、これらの動作を連続して行うのが理想ではあるのですが、実際には慣れるまでは そうもうまくいきません。そこで、慣れるまではこのプロセスをすべて連続して行うのではなく、 途中でいったんプロセスを確認する時間をとると、いい結果が得られることがあります。 具体的には、楽器を構え、ブレスを取り、アンブシュアを作ったところで一旦止まるのです。 このとき、舌はリードについている状態なので、息が流れる寸前の状態で止まっているはずです。 それがうまくできているならば、舌をリードから素早く離すだけで息が流れ、音が鳴るはずです。
音が鳴り始めるときの一連の動作の中で、リードから舌を離す瞬間が一番大事です。 これをいい加減にしてしまえば音が頭からちゃんと出なくなりますし、自分が出したい音と 違う音が鳴ってしまう原因にもなります。

うまく音が発音できれば、次はそれを十分持続することが必要になります。そのとき、 まずは大きな音が出て、しかもその響きが豊かなものを出すように意識しましょう。 もちろん小さな音をのばすことも必要ですが、そのためには腹筋を中心とした様々な部分を うまく使う必要があります。楽器を手にして間もない段階で、そこまで要求するのは無茶な相談です。
また、最終的には十分な長さ(たとえば M.M.=60 で8拍)持続することが必要ですが、 はじめの段階ではあまり固執する必要はないように思われます。長くのばすためには、 はじめのブレスを大きくとって使える息の量を多くするか、息を出し惜しみして細くするか ということになりますが、前者に体が対応していない段階では後者に頼らざるを得ず、 それは結果として響きのない貧弱な音になる原因となってしまうからです。

音の収束は、理論的には息を止めてしまえばいいことになります。確かに、曲によっては そういう技法が有効な場合もあります。しかし実際には、必ずリードに舌を当てて リードの振動を止めてやる必要があります。
息の流れがなくなればリードの振動が止まるのは事実ですが、その過渡状態が問題になります。 リードはそれまでの振動の慣性で、すぐには止まらないのです。その余分な振動は、 音楽の中では雑音として認識されてしまうのです。いっぽうで、リードに舌を強く押し当てれば、 確かに振動は止まりますが、同じことをロングトーンではなくて曲の中でしてしまうと 次の音への移行がうまくいかない原因になってしまいます。このような状況を考えながら、 最低限の力で確実にリードの振動を止める感覚を身につけましょう。

ここで述べたことをすべて同時に果たすのは確かにやっかいです。しかし、熟練した奏者は 常にこれらのことを無意識のうちに実行しているのです。
一つ一つの項目をそれぞれクリアーして、一連の動作が自然にできるようになれば、 それは演奏面にもはっきりと反映されるでしょう。

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