このページの最終更新:12th Nov 2001

ブランド信仰の功罪

ブランド信仰とは / ブランド信仰の利害

ブランド信仰とは

ブランド信仰の問題点

このようなブランドへの過度の傾倒にはさまざまな問題がつきまといます。
まずは、先の話にも出てきたように、そのブランドが品不足に陥りやすくなるということが挙げられます。 それを解消しようとすれば、値段を上げて欲しい人を減らすか、増産するか、ということになります。 前者はともかくとして、後者は一見問題なさそうですが、増産のためにどこかで無理をする場合が 多くみられます。たとえば、同質の材料が充分手に入らないことで材料の質が下がったり、単位時間に 流れる品物が多くなるが、同レベルの係をそれに見合うだけ増やせないと、加工や検査が甘くなる、という 可能性があります。これは、一昔前のバンドレンのリードで見られた現象でもあります。

次に、判断基準を他人任せにすることで、自分で判断する力がつかなかったり、判断のための情報や 経験が不足するという心配があります。そんな状態でも、ちゃんとそのものが手に入れば問題はないのですが、 何らかの事情で手に入らなかったとき、お手上げになってしまいます。これは、上で述べたバンドレンの リードが品不足になったとき、文句しか言えなかった人が多数出たこととも符合します。そして、ある 楽器屋さんが「バンドレンによく似たリード」としてリファルト社のリードを入荷したところ、今度は そのリードが一気に品薄になってしまったことからも、自分で考えずに行動している人が多かったと 推測することができます。

そして一番怖いのは、そのブランド以外を認めない、という風潮ができてしまうことです。
皆さんは、YAMAHAのマウスピースについてどんなイメージを持っていますか? 残念ながら、多くの方は あまりよいイメージは持っていないのではないでしょうか。僕自身もそうでし (過去形)。
そもそも、そう思った理由はなんでしょう。きっと「楽器メーカーが体裁を整えるためにつけてるだけらしい」 「みんながイマイチといってる」といったくらいの理由じゃないでしょうか。実際に吹いたという人も、 多くの場合は楽器についていた物だけではないでしょうか。僕は少し前にある楽器屋で、そこにあった YAMAHAのマウスピースをすべて試奏させてもらいました。得た結論は「ここにある分は僕の好みには 合わないけど、マウスピースのつくり自体はバンドレンと差はない」でした。他人の意見がどれだけ いい加減なものか、思い知らされました。

よく考えてみてください。本当に体裁を整えるだけならば、マウスピースなんて自分で作らないでよそから 買ってきてつければいいのです。事実、そうやっているメーカーもあります。自力で作ってつけている というのは、自分の商品に自信があるからできることのはずです。特に、この場合はいくらでも他の手段が あるのですから。それを勝手な推測や、誰かの意見だけをもって断定するのは、あまりにも危険です。

この試奏をお願いしたときに、お店の人は非常に不思議そうな顔をしました。そして「普通の方はYAMAHAには 見向きもしませんよ」といっておられました。残念ながら、それが現実です。
「平家でなければ人ではない」ではありませんが、あるブランドをみんながもてはやすことによって、 同じレベルかそれ以上のレベルのほかのブランドが埋もれてしまうのです。それが果たして、ほんとうに 望むべき姿なのでしょうか。

このページのはじめへ戻る

ブランド信仰の利点

しかし一方で、ブランドが確立されているという事実がもたらす利点も確かに存在します。
たとえば、どこへいってもそれがほぼ確実に手に入るということです。ブランド物のバックでは どうか分かりませんが、クラリネットに関係するもの一般に限れば、世間で評価されているものは 管楽器フロアを持っている楽器屋に行けば、たいてい手に入ります。これは、リードのような 必需品にとっては特に重要で、無駄に探し回る量力を割かずにすみますし、そのことを過度に 心配する必要もありません。ただ、これも度が過ぎると、逆効果になってしまうのは先に述べた とおりです。

もうひとつ挙げるなら、詳しくない人にとっての道しるべになるということがあります。詳しくない 人でも、とりあえずブランドとしてみんなが認めているものを使っていれば、大きな問題は起こらない だろう、という安心感があります。しかしこれも、いつまでも頼るのではなく、自分の進歩に従って 随時見直していくことが必須となります。

楽器やバックに限らず、どんなものでもブランドは存在すると思います。それを絶対悪だとは思いません。 その事実にただ流されるのではなく、自分の視点と考えを常にもち、時として疑うことも含めて 上手に利用する姿勢が必要だと思います。

このページのはじめへ戻る

ブランド信仰とは / ブランド信仰の利害