このページの最終更新:3th Feb 2006

演奏者から見た楽譜の話


著作権という言葉は知っているけれど

私たちが音楽を演奏する場合、たいていは楽譜を用意してそれを演奏することになります。 これはクラリネットに限らず、楽器一般に当てはまります。そしてその楽譜は、 自分たちで作成(作曲・編曲)することもありますが、たいていの場合は市販のものを 使うことになります。
ところで、私たちが楽譜を入手する場合、必ずしも書店や専門店から購入するとは限りません。 たとえば、友達やほかのバンドが所有している楽譜を借用し、それをコピーして使用することも 現実には多々あります。一方で、多くの方は著作権という言葉を聞いたことがあると思いますし、 他人が持っている楽譜をコピーして使用することが、著作権の侵害に当たるということを なんとなく知っている方も多いでしょう。著作権の侵害は、法律にも抵触することです。 すなわち、盗みや詐欺と同じ犯罪になってしまうのです。
では、なぜ犯罪を犯してまで楽譜をコピーするのでしょうか。もちろん、コピーをすることが 犯罪であることを知らないでいる、という場合もあるでしょう。しかし、よく考えないと いけないのは、現状のどの部分がコピーをしたくなる原因となっているか、ではないでしょうか。

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手に入れるまでの障壁の比較

演奏会や発表会などで「この曲を演奏したい」となったとき、まずは楽譜を探すことになります。 このとき、たとえばその楽譜が出版されたのがずっと昔のことで、いまは既に 作っていない(絶版)ことや、作っていてもあまり出回っていない場合があります。すなわち、 欲しくても手に入らない状態です。このとき、近くにその楽譜を持っている人がいたりした場合、 わざわざ苦労して楽譜を探し回るよりも、その人にお願いして借りてしまったほうが楽である、と 誰しも考えることではないでしょうか。
また、楽譜が入手可能であってもその価格が非常に高価だった場合、代金を準備することが できなかったり、できたとしても相応の金銭的な痛みを伴うことになります。このとき、近くに その楽譜を持っている人がいた場合、コピーの費用や手間を天秤にかけて、購入しない選択肢を 選ぶ可能性も充分考えられます。
ほかにもいくつかの場面が想定できますが、いずれの場合も、本来の手段で入手るよりも 容易な方法があったときに簡単なほうへ流れてしまう、という図式に集約できるのではないでしょうか。

これを、ほかの出版物と比較すると、どうなるでしょうか。
たとえば、新聞や週刊誌をコピーする人はあまりいません。新聞については、スクラップを するためにコピーすることはあるかもしれませんが、正規の新聞を購入する代わりに コピーをする、ということはまずないでしょう。少し考えてみれば、新聞や週刊誌は書店だけでなく コンビニや駅の売店でも手に入りますし、価格も安価です。コピーをとる手間を考えれば、 ちょっと寄り道をして買ってしまったほうがよっぽど楽だと思うのは、当然のことともいえます。 楽譜も、もし新聞並みの価格と入手性があったならば、誰もコピーすることはないでしょう。 そうではないから、コピーする人が出てくるといえるのです。

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高くても買う、安くても買わない

世の中を見渡してみると、素人目にはガラクタにしか見えないものがとんでもない高値で 取引される一方で、量販店で安売りの商品が大量に売れ残ったりします。高値の商品は、 その物のことをよく知っている人が見れば、値段相応またはそれ以上の意味のある商品と いうことですし、売れ残っているのは、値段に見合った内容がない商品、ということになります。
楽譜も買い手から見れば、全く同じことがいえます。すなわち、値段以上の内容があれば 少々高くても必要な人は買いますし、値段に見合った内容がなければ安くても買って もらえません。ただし、楽譜の場合には、先に述べたコピーの問題もあります。内容と 値段がつりあっていても、コピーで済ませればいいと思わせるような内容であれば、コピーを する人が出てくることも充分納得できます。

買い手から見れば、いま出版されている楽譜は「法を犯すリスクを取ってでも コピーしたほうがよい」と判断する人が出てくる、価格と内容になっているのかもしれません。 もしそうだとすれば、法を犯すリスクが大きくなる、すなわち違法行為に対して 罰則が厳しくなる、あるいはコピーするほうが無駄と思うような価格か内容の楽譜と なったとき、現状と違った状況が生み出されるのかもしれません。

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