皆さんは、バンドの練習に必ず出ていますか? もちろん、毎回ちゃんと練習に出てしっかり
練習をすることは非常に大事ですから、毎回欠かさず出ることは非常に基本的なことです。
でも現実には、本業の仕事や学業もありますし、体調が悪いこともあるでしょう。ですから、
事情によっては練習をお休みすることがあっても、それはやむをえない事です。
ところで、一人のメンバーが練習(あるいは本番)に欠けるということは、一体どういう
ことでしょうか。大人数のバンドの場合、一人いなくなってもあまり影響は無いように見えます。
でも、本当にそうでしょうか。
私たちの感覚からすると、本番隣で吹くべき人がいないというのは、せっかく合奏の出ていても
少し無駄になってしまったような気がします。ほかのパートの人が少なくて、普段より存在感が
ないようだと、「あのパートはやる気があるのかな」などと疑ってしまうこともあります。
これらのことから、バンドのメンバーが欠けるということは、単純に一人足らない、という
事以上の意味があるようです。
ここで、あるモデルを考えてみます。
ここに、100人のメンバーがいるバンドがあると仮定します。バンドの総合力を100、また
メンバーの力は全員まったく同じとします。普通に考えると、メンバーの持っている力を1とすると、
100人集まればその1を100個足して、バンドの総合力である100になると考えることができます。
このモデルの場合、メンバーが一人休むとバンドの総合力は99になります。100と99では、確かに
差はありますがそれほど大きなものではありません。1%の差は、誤差として処理してしまうことも
充分可能なレベルです。しかし、どうもこのモデルは私たちの実感とは多少異なるようです。
ここで、モデルに少し変更を加えてみます。何を変えるのかというと、バンドのメンバーの力を1ではなく
1.0471にするのです。バンドの力はやはり100です。こうすると、単純に足し算しても100にはなりません。
でも、違う方法で100にすることができます。
実は、この1.0471というのは100の100乗根です。すなわち、1.0471を100回掛けると100になるのです。
(端数を切ってあるので厳密には100になりません。)このモデルだと、一人が欠けると1.0471を99個と
0を1個掛けることになります。するとどうでしょう、バンドの力は0になってしまうのです。もし
こんなバンドがあったならば、メンバーの責任は重大です。少しでも休もうものなら、バンドは
まったく機能しないのですから。
ここに挙げた二つの極端なモデルは、メンバーの力がどのように集まってバンドの力になるのかを、 単純化したモデルともいえます。前者はメンバーの力の足し算であるとしたもの、後者は掛け算であると したものです。現実のバンドは、このふたつの理論がミックスしたものと考えることができそうです。 そして、私たちの感覚に照らし合わせてみると、どうも足し算よりも掛け算のほうが強いモデルが、 実際のバンドの感覚に近いように思われます。
このことからいえることは、バンドのメンバー一人一人が持っている責任の重さが、実は非常に
大きいということです。一人欠けることでバンドの力が0になる、というのは極端としても、確実に
巨大な影響を与えます。この重さは、ひっくり返せば一人一人が力をつけることで、いくらでも
バンド全体の実力はあがっていく、ということでもあります。
たとえば先ほどの掛け算モデルで、メンバーの力を1.05にするだけで、バンドの力は131.5になります。
およそ0.05増やして1.1とすれば、なんと13780になってしまうのです。足し算モデルだと、0.05増やしても
トータルでは105にしかなりません。
これらのことから導かれる結論は、バンドのメンバーとして所属しているという責任を、大事にする 必要があるということ、一人一人が少しでもレベルアップすれば、バンド全体として大幅なレベルアップが 期待できること、であると思います。もちろん、バンドのためにすべてをなげうってしまう訳には いきませんが、もういちどバンドにおける自分の存在の大きさを、噛みしめてみてはどうでしょうか。