旋律に趣を添えるために、本来の音に変化を付けて旋律を飾る手法があります。 その方法はいくつかありますが、それらをまとめて装飾音といいます。クラリネットの 楽譜で多いのは、前打音とトリルでしょうか。そのほかにも、アルペジオやモルデント、 ターンという技法もあります。
よく出てくる装飾音の一つである前打音は、その名の通り、本来の音の前に別の音を打つことで、
そのうち方によって長前打音、短前打音、副前打音などがありますが、長前打音は
今日ではほとんど用いられません。
本来の定義に従えば、(1)のように前打音がビートに乗って、本来の音はその後に出ることになります。
しかし、これでは本来の音が遅れて聞こえてしまうので、前打音はビートの前に出すという
解釈もあります。この解釈の違いは、曲や指揮者によって様々ですが、いずれをとるにしても、
バンド全体で確認しておくことが必要です。
トリルは、音の全長にわたって本来の音とその上の音を交互に速く吹くことによって、
音に華やかさをくわえる技法です。通常、本来の音に対して曲の調のままで一つ上の音と
交互に吹くことになりますが、トリルの相手の音を特に指定することもあります。
トリルの速さは、32分音符程度を基準に、登場する場面や周りの音楽とのかねあいを考えて
調節すればいいでしょう。むやみに速くすればいいというわけではないのです。
アルペジオは、日本語で分散和音といいます。ピアノなどの鍵盤楽器で、和音を順番に
素早く演奏することで、和音の響きをより印象づけることができます。木管楽器は本来
単音楽器ですが、アルペジオを使うと、和音を吹いているのと似たような印象を
与えることが可能です。
上に挙げた前打音とトリルの他にも、装飾音はいくつかあります。登場頻度は少ないですが、
モルデントやターンがそれに当たります。
モルデントは、短いトリルとも見ることができます。基本的には、元の音符の前半分を
トリルのように上の音と交互に演奏し、後ろの半分は元の音をそのまま演奏します。
繰り返す速度は基本的に32分音符です。
ターンは、本来の音の上の音と下の音を使って飾ります。様々なパターンがありますが、
どれも元はチェンバロなどの鍵盤楽器の技法なので、クラリネットの楽譜ではほとんど見かけません。