音楽にとって速度は大事な要素です。同じ楽譜でも速度を変えるだけで印象が大きく
変わってしまいます。音楽においての速度は、音楽中のある音符の長さを決めることによって
決定されます。これは同時に、1拍の長さを決めることでもあります。
しかし、音符の長さを厳密に指示した楽譜はそれほど多くはありません。多くの場合は、
楽譜には速度の目安となる語句が書いてあり、奏者や指揮者はその語句によって大まかに
決められた範囲で任意の速度で演奏することになります。
このように、大まかな速度を与える語句を、速度標語といいます。この速度標語には
音楽全体の早さを決めるものと、ある部分での変化を示すものとがあります。
音楽全体の早さを決める速度標語とは、Adagio や Allegro などのことです。
変化を示す標語には、accel. や rit. があります。主なものは、後のほう
にまとめてあります。
いっぽうで、曲によっては音符の長さを厳密に決めている場合もあります。その場合は、
基準となる音符が1分間に何個出てくるかによって表します。たとえば、♪=120 なら、
8分音符が1分間に120個の速さです。また、M.M.♪=120 と書けば、メトロノームで
速度を指定する事になります(M.M.は、Malzel's Metoronome、メルツェル・メトロノームの省略形)。
ところで、音楽ははじめから最後まで同じ速度とは限りません。多くの場合は、
音楽の雰囲気を強調したり、聴衆を引きつけるためにある部分の速度を変化させる場合があります。
このときにも、速度標語が用いられることになります。
速度の変化を表す速度標語の多くは、速度の変化と同時に音量や感情の変化を同時に指示するものも
案外多くあります。また、曲全体の速度を決める速度標語に Piu(ピウ:より多く、さらに)をかぶせて、
速度の変化を示す場合もあります。いずれにしても、少しでも疑問のある標語が出てきたら
何らかの方法で確認しておかないと、とんでもない間違いを犯すことにもなりかねません。
よく見かける速度記号を、まとめてみました。この表の作成には、 文献を参考にしています。
1.音楽全体の速度に関する速度標語
| 標語 | 読み | 日本語訳 | テンポの目安 |
|---|---|---|---|
| Largo | ラルゴ | 静かに遅く | 60 |
| Adagio | アダージョ | 遅く | |
| Grave | グラーヴェ | 遅く | |
| Lento | レント | 遅く | 72 |
| Andante | アンダンテ | 優雅に歩く速さ | 108 |
| Maestoso | マエストーソ | 荘厳に | |
| Moderato | モデラート | やや速く | 120 |
| Allegretto | アレグレット | やや速く | |
| Allegro | アレグロ | 軽快に速く | 132 |
| Animato | アニマート | 速く | |
| Vivo | ヴィーヴォ | かなり速く | 152 |
| Vivace | ヴィヴァーチェ | かなり速く | |
| Presto | プレスト | 非常に速く | 184 |
2.速度の変化に関する速度標語
| accel. | アッチェレランド | だんだん速く、かつ大きく |
| string. | ストリンジェンド | だんだん速く |
| Allargando | アラルガンド | だんだん遅く、かつ強く |
| rall. | ラレンダント | だんだん遅く |
| rit. | リタルダント | だんだん遅く |
| Morendo | モレンド | だんだん遅く、かつ弱く |
| A tempo | ア・テンポ | 本来の速度で |
| Tempo I | テンポ・プリモ | 最初の速度で |
| Tempo Rubato | テンポ・ルバート | 感性のおもむくままに(奏者の自由) |