チューニングをするときに、二つの音が微妙に違う高さだと、音が「わんわんわん」と 大きくなったり小さくなったりするように聞こえます。私たちは、このような現象を指して 音がうなっている、などといいます。
うなりは、お互いに周波数の近い二つの波があるときに、その二つの波が重なって
起こります。理論的には音だけでなく、電波や光、地震でも起こるはずなのですが、
実際に私たちがうなりとして認識できるものはあまりありません。
では、このうなりはどうやって起こるのでしょうか。
うなりの理屈を知る前に、まずはうなりの様子を見て見ましょう。
この絵は、ある適当な二つの周波数の正弦波を、単純に足し算したものです。
よくみると、ある周波数の波が、ゆっくりとした速度で大きくなったり
小さくなったりしているのが分かります。このような波が音として存在した場合、
私たちの耳には、ある周波数の音が、ゆっくりした速度で、音量が大きくなったり
小さくなったりして聞こえます。この音量の変化が、うなりの「わんわんわん」
となって聞こえるのです。
うなりは、元となるふたつの正弦波の周波数や振幅比によって、かなり様子が変わってきます。
それらを一つ一つ紹介することはできないので、うなりを簡単に表示できるエクセルファイルを
作ってみました。開いたファイルの周波数や振幅をいろいろ変えると、それにあわせて
表示される波形も変わります。いちどお試しください。
うなりを表示するエクセルファイル (155KB)
・IEの場合、エクセルがインストールされていれば直接IE上に画面が表示できます。
・NNの場合は、ファイルをダウンロードするとエクセルのウインドウが開きます。
では、うなりが生じる理屈を考えてみましょう。
いま、周波数 fa、最大振幅 Aの正弦波と、周波数 fb、最大振幅 A の正弦波があるとします。
このとき、それぞれの波のある瞬間tの振幅 Aa(t)と Ab(t)は、
Aa(t) = A×sin(2πt×fa)
A2(t) = A×sin(2πt×fb)
と表せます。ただし、簡単にするため、位相のずれをないものとします。また、最大振幅が
同じなのも、あとの説明を簡単にするためです。
さて、この二つの正弦波が同時にあるとき、合わせた波はどうのようになるのでしょうか。
波は、複数の波を重ね合わせることができます。そのときの合成波は、単純に足し算をすれば
求めることができます。ですから、先ほどの二つの波を合成したとき、その合成波の振幅 A(t)は、
A(t) = A1(t)+A2(t)
= A1×sin(2πt×fa)+A2×sin(2πt×fb)
となります。
ここで、高校数学で習う「和積の公式」を使います。和積の公式は、
sin A+sin B = 2×cos((A−B)÷2)×sin((A+B)÷2)
ですから、先ほどの式に当てはめてみると、
A(t) = A×sin(2πt×fa)+A×sin(2πt×fb)
= A×(sin(2πt×fa)+sin(2πt×fb))
= A×2×cos(((2πt×fa)−(2πt×fb))÷2)×sin(((2πt×fa)+(2πt×fb))÷2)
= A×2×cos((2πt)×(fa−fb)÷2)×sin((2πt)×(fa+fb)÷2)
となります。ここでこの式をよく眺めると、振幅がA×2×cos((2πt)×(fa−fb)÷2) で、周波数が
(fa+fb)÷2 の波の式であることが分かります。そして、 fa と fb が近い値の場合、(fa+fb)÷2
は音の周波数に近い値となる一方で、(fa−fb)÷2 はかなり小さい値となります。ですから、もとの
二つの波と同じような周波数の音が、ゆっくりと大きくなったり小さくなったりしているように
聞こえるのです。