リードが完全に乾燥するには、どのくらい時間がかかるのでしょうか。
この単純な疑問に対して、前回の実験で、すでに「リードはすぐに
乾燥しない」ことを確かめています。しかし、このときはリードを裸のまま机の上に放置する
という、普通の片付けた状態と異なる条件での実験でした。そこで今回は、リードをちゃんと
リードケースにしまった状態でどう変化するのかを確かめました。
リードのしまい方にはいくつかの種類があると思いますが、今回は一般的と思われる、
リードケースと、2種類のリードガードを使用し、また比較のため今回もカバーなしで放置する
サンプルも用意しました。使用したリードケース・リードガードの写真を左に載せておきます。
左上の大きいケースが普通のリードケースで、ふたを閉じるとリードはほぼ密閉された空間に
閉じ込められます。手前の紫色のものは、かつてバンドレン社から出ていた、4枚のリードが
収納できるリードガードです。リードの接触する面には数本の溝が切ってあります。また、リードは
中央のゴムバンドで固定されているだけです。その右は、バンドレンのリードを買うとついてくる
リードガードで、この3つの中では一番開放度が高いと思われます。
実験方法は単純です。充分乾燥していると思われるリードの重さをはかり、水にある時間浸して、 その後適当な時間を置きながら重さをはかっていくだけです。
実験は、前回より分解能・確度の高い、会社の電子天秤を借用しましたので、すべて会社の自席で
行ないました。使用したリードは、前回の実験後そのままケアもせずに放置していた、バンドレンと
グロタンのリード各2枚ずつと、最近引出しの奥で発見した、おそらく使用不能のリード4枚を加えた
合計8枚です。これを4グループに分けて、まずすべてのリードを約3時間水に完全に沈めます。次に、
普通のリードケース、バンドレンの白いリードガード、同じくバンドレンの4枚組みリードガード、
そのまま、の4グループに2枚ずつ分け、適当な時間の経過ごとにその重さを測定しました。
会社の自席は前回の実験と同じく、気温18〜22℃、湿度25〜35%でした。リードはそれぞれの収納状態で
机の片隅に放置しました。この場所は、天井から吹き出す空調(冷房・暖房の区別は不明)がほぼ直撃して
いましたので、紙をかぶせておきました。
なお、この実験は上述のとおり会社で行なったのですが、社則により開発環境(=自席)は写真撮影が
一切禁止だったので、実験中の様子は紹介できません。申し訳ありません。
測定結果を表にまとめると、次のようになりました。(数字の単位は[g])
| サンプル名 | 実験前 | 開始時 | 6時間後 | 20時間後 | 24時間後 | 44時間後 | 48時間後 | 68時間後 | 72時間後 | |
| リードケース | Sample1 | 0.770 | 0.989 | 0.859 | 0.794 | 0.783 | 0.764 | 0.751 | 0.751 | 0.749 |
| Sample2 | 0.794 | 1.130 | 0.969 | 0.831 | 0.814 | 0.781 | 0.774 | 0.770 | 0.769 | |
| リードガード(4枚組み) | Sample1 | 0.846 | 1.081 | 0.889 | 0.849 | 0.840 | 0.834 | 0.825 | 0.821 | 0.823 |
| Sample2 | 0.800 | 1.035 | 0.849 | 0.804 | 0.793 | 0.782 | 0.776 | 0.772 | 0.770 | |
| リードガード(1枚もの) | Sample1 | 0.814 | 1.136 | 0.966 | 0.829 | 0.811 | 0.793 | 0.788 | 0.785 | 0.784 |
| Sample2 | 0.764 | 1.070 | 0.878 | 0.764 | 0.756 | 0.741 | 0.738 | 0.737 | 0.739 | |
| ケースなし | Sample1 | 0.790 | 1.103 | 0.790 | 0.768 | 0.770 | 0.759 | 0.759 | 0.762 | 0.764 |
| Sample2 | 0.716 | 0.964 | 0.709 | 0.698 | 0.697 | 0.691 | 0.693 | 0.691 | 0.689 | |
このままでは少し分かりにくいので、グラフにするとこのようになります。

リードケース

リードガード(4枚組み)

リードガード(1枚もの)

ケースなし
この結果を見ると、すき間が多く比較的乾燥が速いと思われるバンドレンのリードガードであっても 元の質量に戻る、すなわち充分乾燥した状態に至るまでには、およそ48時間=丸2日近くかかり、 密閉度の高いリードケースでは、落ち着くまでにさらに時間が必要ということが分かります。一方で、 机の上に裸で放置すると6時間後にはほぼもとの状態に戻ることも分かります。
リードの外観上は、6時間後の測定の時点ですでに、どのリードも充分に乾燥している かのようになっていました。その後実験終了まで、リードの外観は全く変化していません。 このことから、リードの内部にしみこんだ水分が乾燥するまでには、それなりの時間が 必要である、という事もわかります。
なお、この実験ではリードを机の上に置いています。楽器ケースの中や小物入れの中など、 実際にはもう少し風通しも悪く、湿度もそこそこある環境にリードを置くことになるので、 今回の実験よりももう少し乾燥が遅い可能性は充分にあります。ですから、リードが完全に 元の状態に戻るには、4〜5日を見込んでおくのが賢明ではないかと思います。