クラリネットには、いくつものキイが取り付けられています。そしてそれらは、 お互いに連携を保って動作しています。その様子を理解するために、まずはキイの 一番単純な役割・運動から考えていきましょう。
キイの役割は、人間の指だけでは届かない場所のトーンホールをふさぐことと、
人間の指では不可能な連動をこなすことがあります。いずれにしても、
人間が触っていない状態と、触っている状態があります。キイをよく観察してみると、
人間が触っていない状態でトーンホールが開いているものと、ふさがれているものに
分けることができることに気づきます。これは、キイの押さえるところと、タンポが
付いているところの位置関係で決まります。
具体的な関係は、図を参照して下さい。
キイの運動が、単純に1対1で対応しているだけなら、さほど難しいことはありません。
しかし、音域を広げたり、半音階をより正しい音程で実現するためには、複数のキイを
うまく組み合わせて連動させる必要があります。まずは、簡単な例から見てみます。
はじめの例は、一カ所のキイを押すことで複数のタンポをふさぐものです。
トーンホールを分散させることで音程や響きを安定させる事ができます。
クラリネットの場合、上下管のトーンホールに付いたリングキイがこれに当たります。
特に、下管のリングによって上管のタンポが動くようになっているので、
これを使って Ds/As を替え指で吹くことができます。
これとは逆に、複数の場所を押さえて同じタンポを操作するものもあります。
一見何の意味もなさそうな感じもしますが、同じ指で複数のキイを扱う場合、
こうすることでキイの上を指を滑らさなくてすみます。クラリネットの両手小指で扱う
キイ群がそのいい例です。
さらに複雑な構造を採用すれば、キイの組み合わせで必要なタンポだけが操作できるように
選択性をもたせることも可能です。その中で単純な例は、上管の十字キーです。
このキイは、Gs の時はサイドのタンポしか動きませんが、G の時は、別に Gs を操作
しなくても、自動的にサイドのタンポも動きます。それは簡単に言えば、G キイが Gs キイの
下に潜り込んで、Gs キイを持ち上げるようになっているのです。
これをさらに複雑に応用したのが下管の小指関係のキイで、右手小指で扱う4個のキイのうち、
右上のものから伸びた足によって、必要な動きが得られるようになっています。
ここで見てきたキイは、クラリネットの心臓部です。その連携が微妙なものなので、 調整がしやすいように、キイ本体は比較的柔らかい金属でできています。これはひっくり返せば、 少しの衝撃で調整が狂ってしまうということなのです。そのことを肝に銘じて、 楽器は丁寧に扱わなければいけません。それと同時に、キイの構造を正しく理解すれば、 楽器にできるだけ影響を与えない方法も考えることができますし、万が一調整がおかしく なったときに応急処置をすることも可能になります。楽器と仲良くするためにも、 キイ構造の正しい知識を持っておいた方がいいでしょう。
最後に、クラリネットのキイの分類図を載せておきます。
