このページの最終更新:18th Jan 1999

ダイナミクスレンジの謎

小さな音 / 大きな音

大きな音

大きな音も得意なのか

さて、クラリネット奏者自身はあまり意識していませんが、クラリネットは 大きな音も比較的容易に出せると思われているようです。実際には、Saxの方が 大きな音を出すことができるのですが、クラリネットもそれに負けないキャパシティを 持っていると思われているようです。では、実際のところはどうなのでしょうか。
具体的に計測したわけではありませんが、一般的にダブルリード楽器から比べると クラリネットの音は大きいようです。Saxとの比較はおいておいて、まずはダブルリード楽器より 大きな音が出る理由を探してみましょう。

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吹き込み口の大きさが原因なのか

クラリネットとオーボエを比較してみると、両者の見た目の大きな違いは吹き込み口にあります。 オーボエのそれは狭く、クラリネットは比較的広くできています。どちらもこの部分が 音の発生源になっているのは一緒なので、このあたりに理由があるようです。
狭管マウスピース そこで、狭管マウスピースをもう一度持ち出してみます。これの空気が通る部分の断面積は オーボエにかなり近いものがあります。そこで、これを目一杯鳴らしてみようとすると、 管が狭いためある一定量以上息が入らず、それに従って音も大きくなりません。 どうやら、音の大きさは息のはいる量と関係があるようです。
この関係については、エネルギー工学の観点から説明がつきます。
音はエネルギーの一種です。無からエネルギーが発生することはありませんから、 音が発生するためには、必ずどこからかエネルギーが供給されなくてはなりません。 これは楽器に限らず共通で、たとえばスピーカーは電気エネルギーが変換されています。
管楽器の場合、音に変換されるエネルギーのもとは、息にあります。息が持っているエネルギーには、 運動エネルギー・圧力エネルギー・熱エネルギーがあります。このうち熱は、 残念ながら音に変換することができませんので、楽器は残りの運動と圧力のエネルギーを 音に変換していることになります。
大きな音を出すためには、大きなエネルギーが必要です。運動エネルギーを大きくするためには、 息のスピードを上げるか、時間あたりの息の量を増やす必要があります。あまりスピードを上げ過ぎると リードの振動のバランスが崩れてしまうので、息の量を増やす必要が出てきます。 息の圧力は、いくら我々ががんばっても音の大きさを大きく変えるほどはあがりません。
ですから、大きな音を出すためには、時間あたりにたくさんの息が通る必要があるのですが、 管が細いと、その息が十分通らなくなるので音は大きくならないのです。これは、 Saxも大きい音が出ることと矛盾しません。

このように、クラリネットは楽器の構造的にダイナミクスレンジが非常に大きくとることができるのです。 それにも関わらず、私たちは演奏にそれを十分生かしていないことが多いようです。 もっと楽器を充分に活用した演奏ができるといいですね。

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