このページの最終更新:1st Nov 1998

楽器部分論

マウスピースリガチャーリードタンポキイ / 木管部分

木管部分

グラナディア

クラリネットの本体は黒い木でできています。この木は、グラナディア (文献によってはグレナディアだったりする)という、南アフリカ地方 (だったと思う)原産の木です。別に、クラリネットに使う木はなんでも いいように思えるけど、固く密度があって変形が少なく、水分に強い木材としては グラナディアが最高なのです。

しかしこのグラナディアも、楽器の材料となる太さになるまでに数百年かかるのです。 それは、木の密度が高いために成長速度が遅くならざるを得ないからです。
ですから、今我々が使っている楽器は、もとをただせば数百年の時間をかけて でき上がったともいえます。これだけ時間がかかるので、現在では伐採すると 同時にかなりの数の苗木を植えています。それでも将来原木不足になる可能性が かなりあると聞きます。
ただ、この説は、原木業者が価格をつり上げるために流布したという話もあるので、 実際のところはどうなのかよく分かりません。

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プラ管クラリネット

普段見るクラリネットは、上でも書いたようにグラナディアでできていますが、 時々そうではないクラリネットを見ることがあります。それは、プラスチックで できているものです。
プラスチックは、加工が容易なだけでなく、安価でしかも丈夫です。割れる心配も ありません。水がかかっても平気です。色もカラフルにすることができます。
さらに、グラナディアで作るより本体は軽くなります。

こうしてみると、いいことづくめのようにも見えますが、実際には吹奏楽や オーケストラの世界ではプラスチックのクラリネットはまず見ることができません。 その理由は、プラスチック管のクラリネットでは音が貧弱になり、表現の幅が つかないことにあります。
たったこれだけの理由で、でも音楽の命となる理由で、プラスチック管は用途が 限定されています。それは、パレードなどの屋外演奏用です。それ以外の場面では、 グラナディアのクラリネットを使うことになります。

この、いい音が鳴るという要求は結構シビアで、かつてクランポン社が「大幅な 楽器の軽量化」をうたい文句に、管の厚みを徹底的に削った楽器を発売しました。 しかし、いくらタンポやトーンホールに工夫を加えても、音が薄くなることは 避けられなかったので、人気はありませんでした。
今ではお目にかかることもできません。そのくらい、クラリネットにとって 音色は大事なのです。

(おまけ)最近、加工時にでる削りかすを樹脂で固めてクラリネットを作る 技術がでてきているようです。まだ完全に完成された技術ではないと思うので、 これからどうなるか見守っていこうと思います。

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トーンホールの管理

いくらグラナディアが固くて丈夫だといっても、強い衝撃を与えれば壊れます。 特にクラリネットの場合、トーンホールが欠ける事は致命傷にもつながりかねません。
そうでなくても、トーンホールは音を生み出すのに重要な役割を果しているの だから、かなり気を使わなくてはいけません。

トーンホールには、知らず知らずのうちにゴミが付着します。おもに部屋の埃 だと思うのですが、とにかくトーンホールが汚れるとホールの断面形状が 変わってしまう訳ですから、いいはずはありません。
これらのごみがつく事自体は無塵室にでもいないかぎり不可能なので、こまめに 掃除しなくてはなりません。その方法自体は、楽器屋で市販されているトーン ホールクリーナーや、綿棒などを使えばいいでしょう。

キーのねじを調節する際などに、誤って木管本体に傷をつけてしまう可能性が あります。それが本体の腹の部分ならそれほど大げさに心配する必要はない みたいですが、もしトーンホールのエッジの部分が欠けてしまうと、そこから 空気が漏れたり、タンポや指が引っかかったりしてしまいます。
また、音色にも大きな影響を与える事があります。さらに困った事には、 このような破損は下手をすると修理できない事があるらしいので、充分用心 しましょう。

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木管の割れ

クラリネット吹きにとって「楽器が割れる」という事は非常にショックな ことです。割れるのを防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。

クラリネットに限らず木工製品にとって問題となるのは、乾燥・急激な温度 変化・水分の付着だと思います。
まず乾燥についていえば、木がもともと生物の体である以上、あまりにも湿度の 低い状態におかれる事は好ましくありません。いくら原木を充分乾燥したと いっても、原木の中にあった水分をすべて取り出した訳ではないので、その 残った水分までもが大気中に失われれば、木の構造維持に大きな影響が出るのは 容易に想像できます。

急激な温度変化は、人間にとっても嫌ですが、それは木にとっても同じだと いえると思います。特にクラリネットの場合、管の外側が冷やされて、内側は 息で暖められる状態におかれるので、楽器の内部に温度差があるわけですし、 そこにさらにショックを与えるのはあまり勧められません。
木にとって水分はやっかいな存在です。なければぱりぱりになって痛んでしまうし、 多ければ腐ってしまいます。クラリネットの場合は材料のグラナディアが水分に 対してかなり強いので、腐ってしまう事はまずないのですが、水滴がついていると、 その気化熱とか、その他色々な要因によって管の部分的な温度に差をつくって しまいます。これも楽器にとってあまりいい事ではありません。
以上の事を考えると、例えば移動の時には楽器にタオルを巻いて保温するとか、 こまめにスワブを通し、ジョイント部分の水滴もこまめに取るなどの対策が 必要な事が分かります。

さて、もし万が一に楽器が割れてしまったらどうしたらいいでしょうか。 色々な話を総合すると、まず第一に考えるのは割れの進行を食い止める事と 割れてできた隙間にゴミが入らないようにする事です。
割れてしまったという事は、今の情況が楽器にとって良くなかったという事 なのですから、そのままほっとけば楽器の状態がひどくなるのは当然です。 一刻も早く何とかしなくてはいけません。
そしてもうひとつのほうですが、これはそんなに深く気にする必要はないかも しれません。ただ、あまり長い間放置しておけば、隙間に入り込んだゴミの せいで完全に修復できなくなる可能性があります。
とはいっても、楽器屋に持っていくまでの間、割れた隙間に瞬間接着剤を流しておく プロもいますので(実話)、楽器屋の腕を信頼してもいいでしょう。 どちらにしても、できるかぎり早く修理する事が必要だと思います。

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