クラリネットには、たくさんのキイがついています。だいたいスチール製 だと思うのですが、表面に銀かニッケルでメッキしてあるので、とてもきれいです。 でもこのキイは、クラリネットの中でも有数の繊細な部分である事を皆さん 意識してますか?
自分の楽器をよく見てもらいたいのですが、キイはそのすべてが1対1に
タンポと対応しているのではなくて、他のキイと連係している部分がたくさん
あるのです。ということは、その連係関係がちょっとでも崩れれば、それがすぐ
息漏れにつながり、それすなわち音が出ない事になるのです。
ということは、キイにあまりにも強大な力をかけたり、普段考えられない方向に
ねじったりするのは禁物です。
まあ、まさかわざわざそんな事をする人はいないと思うのですが、気をつけないと
いけないのは、それを気づかないうちにやってしまう事です。例えば、楽器を
組み立てたり片づけたりする時、ジョイントのコルクが固くて入らなかったりすると、
思わず力一杯ねじ込んだりしますが、その時にキイをわしづかみにしてたり
すると、あとで痛い目に遭います。どんな時でも冷静にどこを持てばいいか
考えましょう。
キイは金属なので、回転部分では金属同士がこすれる事になります。 こすれた状態が続くと金属がやがて摩耗してしまい、キイがぐらついたりする 原因になります。それをあらかじめ防ぐためにキイオイルを回転部分に差す事が 必要になってきます。
キイオイルは摩擦部分の潤滑用オイルなので、その観点からいえばミシンオイル
などで代用できますが、キイオイル自体安いものなので、楽器屋で買ったほうが
いいでしょう。
オイルはそんなすぐになくなるものではないので、月に1回差せば充分です。
ねじを外してキイをばらす必要もないと思います。
キイのついた、いわゆる「普通の状態」で、キイとキイポストの間に一滴ずつ
垂らします。キイを何回か動かしてなじませたあと、必ずあふれたオイルを
ふき取ります。そうしないと埃がオイルにくっついてしまって、かえってキイが
動きにくくなったり、キイが痛んだりしてしまいます。
クラリネットのキイは、そのほとんどがねじ留めされています。それらは、
一見何の変化もないようにみえますが、実はゆるんだりしているのです。
クラリネットに使われているねじは大きく二つあります。ひとつは小さな
画鋲状の形をしたもの(写真上)で数は多く、形はすべて共通です。
もうひとつはキイの中に軸状に入ったもの(写真下)で、長さがそれぞれの
キイに合わせて違っています。そのどちらも、演奏の際の振動によって
だんだん緩んできます。そこで、ドライバーでねじを締めてやらないと、
キイがずれて音が正常にならなくなったり、最悪ねじが落ちてキイまではずれて
しまう事になります。
ひとつ気をつけないといけないのは、ほとんどのねじは一杯まで締めればいいの
だけれども、そうではないものもあるということです。
締めてはいけないのはキイの連係の調整用のねじで、Bbクラリネットは上管の
Gーキイ(写真参照・十字状のキイ)の、観客側に向いたねじ一か所です。
これだけはキイの連係を見ながら適当な位置にする必要があります。
クラリネットのキイは、そのほとんどがねじ留めされています。ですから、
精密ドライバー(-)があれば、ばらばらにしてしまう事が可能です。
でも、それを実行した人は少数派だと思います。やっぱり何十万もする
クラリネットを興味のためだけにばらばらにするのはかなり冒険です。
実際の問題として、キイをばらす事はよっぽどの事情がない限りしないほう
がいいと思います。上でも述べましたが、キイは微妙なバランスで成り立って
いるので、たとえ見た目は元通りになっていても、実際には微妙にバランスが
変わっていて、それで音がならなくなる事もあるからです。
でも、タンポを替えないといけないとか、キイを外さざるを得ない時はしようが
ありません。
キイを外す時に気をつける点は、無理に外さない、ねじをなくさない、キイ
ポストに力をかけない、という事でしょうか。無理に外そうとして引っ張ると、
キイは思っているよりもあっけなく歪みます。それをもとに戻すのは、素人には
不可能です。それに、キイの連係部分は案外複雑に絡まっているので、その部分も
壊れてしまいます。
ねじは、キイの中に軸になって通るものと、キイの端を留めるものがあって、
軸のものは大きいからまだいいとしても、端に使われているのはかなり小さいので
気をつけないといけません。しかも、そんじょそこらでは手に入りません。
キイポストはしっかりしているようで、案外簡単に向きが変わるので変な力を
かけるのは禁物です。
いずれにしても、自信がなかったら専門家に依頼するのが正解でしょう。